リトアニアで自営業を始める方法 個人活動ガイド
結論
リトアニアでフリーランスや小規模事業を始めたい人にとって、最も大事なのは「とりあえず仕事を取ってから考える」ではなく、先にどの形で活動するかを決めることです。結論から言うと、リトアニアでは個人で仕事を始める方法として、individual activity certificate と business license という代表的な入口があり、どちらを選ぶかで申請先、税務、向いている仕事が変わります。ここを曖昧にすると、後で税務や在留の説明が苦しくなります。
公式案内では、individual activity certificate と business license はいずれも State Tax Inspectorate である VMI から取得し、VMI窓口または電子的に申請できます。また、個人活動に関する税率案内では 5〜15% と示されています。さらに、TRPの legal activities ルートでは、管理または出資する会社が6か月以上合法的に活動していることが要件の一つとして案内されています。つまり、仕事を始めることと、在留資格としての事業活動は同じではありません。
日本人が失敗しやすいのは、日本の個人事業の延長線で考えてしまうことです。日本で顧客がいる、オンラインで受注できる、請求書が出せる、というだけでは、リトアニアでどう扱われるかは決まりません。自営業をするなら、税務、在留、銀行、契約の4つを一体で見ておく必要があります。
前提
まず前提として、リトアニアで自営業を始める方法は一つではありません。個人活動として始めるのか、会社を設立して進めるのかでハードルが違います。小さく始める人にとっては、individual activity certificate の理解が重要です。一方で、事業規模が大きくなったり、在留との関係で legal activities ルートを考えるなら、会社としての運営も視野に入ります。
次に重要なのは、VMIが入口になることです。個人活動の証明や business license は、VMIで手続きします。つまり、仕事を取ってから後で税務登録する感覚ではなく、まずVMIにどう登録するかを把握してから活動した方が安全です。特に外国人にとっては、銀行口座、請求書、税務識別、収入説明が全部つながってくるため、入口の登録があいまいだと後で説明が難しくなります。
さらに、在留との関係も大切です。リトアニアの legal activities ベースTRPは、単に「これから起業したい」だけではなく、管理または参加する会社が6か月以上合法的に活動していることが要件として案内されています。つまり、フリーランスの仕事を始めることと、事業ベースで居住許可を取ることは別の論点です。日本人はここを混同しやすいですが、実務では分けて考える必要があります。
実際の流れ
実務では、自営業開始を次の6段階で考えると整理しやすいです。
1段階目は、自分の仕事の中身を整理することです。コンサルティング、デザイン、翻訳、営業支援、マーケティング、教育、開発など、何を提供するのかを言語化します。これが曖昧だと、individual activity で進めるべきか、別の形が向いているかが見えません。
2段階目は、individual activity certificate と business license のどちらが向いているかを見ることです。一般に、継続的な専門サービスや幅広い業務なら individual activity の方が考えやすく、特定の対象業務なら business license が選択肢になります。ここは業種ごとに確認が必要で、安易に一番簡単そうな方で決めない方がよいです。
3段階目は、VMIで登録することです。公式案内では、VMI窓口でも電子でも申請可能です。移住初期で電子認証が整っていない人は、物理的な手続きの方が早い場合もあります。逆に、銀行や電子認証が整っている人はオンラインで進めやすくなります。
4段階目は、税務の考え方を理解することです。個人活動の税率案内は5〜15%とされていますが、実際の負担は収入の形や他の社会保険負担との関係も含めて考える必要があります。大切なのは、税率だけでなく、売上の性質、経費、収入記録の取り方を最初から整えることです。
5段階目は、銀行と契約の整備です。日本からの顧客、リトアニアの顧客、他国クライアントが混ざる人ほど、請求書の出し方、入金の説明、業務内容の説明を揃えておくことが重要です。銀行は単に着金を受けるだけではなく、KYCで活動内容を見ることがあります。
6段階目は、在留との整合性確認です。いま持っているTRPが就労ベースなら、副業や自営業が問題ないかを慎重に確認した方がよいです。最終的に事業ベースTRPへ寄せたいのか、今の在留の中で副次的にやるのかで考え方が変わります。
よくある失敗
最も多い失敗は、日本の感覚で「請求書さえ出せれば始められる」と考えてしまうことです。リトアニアでは、VMI登録、税務処理、在留との整合性が重要です。仕事があることと、合法的にその仕事を処理できることは別問題です。
次に多いのが、individual activity と会社設立を同じ感覚で比較してしまうことです。小さく始めたいのに法人前提で考えて負担が重くなったり、逆に将来的に会社化を見据えるべきなのに個人活動だけで進めて後で組み直しになることがあります。
三つ目は、在留との関係を軽く見ることです。今のTRPが何に基づいているかによって、自営業や副業の扱いに注意が必要です。「オンラインで日本向けにやるだけだから大丈夫だろう」という感覚は危険です。
四つ目は、売上管理を後回しにすることです。海外送金や複数国クライアントがある場合、後から収入の性質を説明しづらくなります。最初から記録を揃えた方が圧倒的に楽です。
注意点
注意点の一つ目は、税務と在留を分けすぎないことです。VMIで登録して税務上処理できても、その活動が今の在留根拠と整合しているとは限りません。逆も同じです。どちらも同時に見る必要があります。
二つ目は、個人活動の税率だけで判断しないことです。税率は大事ですが、実務では売上管理、経費、社会保険、銀行説明、在留との整合性の方が長期的には効いてきます。単純に低そうだから選ぶと後で困ることがあります。
三つ目は、legal activities TRP を「これから起業予定」で取れるものだと誤解しないことです。案内上は、会社が6か月以上合法的に活動していることが前提です。つまり、事業在留はスタートアップ気分だけでは進みません。
判断基準
自営業をどの形で始めるかは、次の5点で判断すると実務的です。第一に、仕事が継続的な専門サービスか。第二に、個人活動で十分な規模か。第三に、今の在留と矛盾しないか。第四に、売上と経費を自分で管理できるか。第五に、将来会社化する前提があるかです。
この5点が見えていれば、VMIでの登録や今後の形がかなり決めやすくなります。逆に、活動内容も在留方針も曖昧なまま始めると、税務と在留の両方で詰まりやすいです。
まとめ
リトアニアで自営業を始めるなら、まずは仕事の中身と登録形態を整理し、VMIでの入口を理解することが重要です。individual activity certificate と business license は便利な制度ですが、税務と在留の整合性を見ずに始めると後で苦しくなります。
海外での個人活動は、自由度が高い反面、説明責任も高くなります。だからこそ、請求書を出せるかではなく、活動を一貫して説明できるかを基準に準備した方が成功しやすいです。
次にやるべきこと
まず、自分が提供する仕事を一文で説明できるようにしてください。次に、その仕事が individual activity 向きか、別の形が必要かを整理し、VMIでの登録方法を確認します。そのうえで、今の在留資格でその活動が問題ないかを見直すのが正しい順番です。
自営業は始めること自体より、正しい形で始めることの方が重要です。最初の整理が後の自由度を決めます。
