2026年4月16日 公開

外国人がマレーシアで会社を作るときの基本

株主になれることと、現地居住取締役が必要なことを分けて理解するための実務ガイド

マレーシアで事業を始めたい外国人向けに、Sdn. Bhd. 設立の基本、株主と取締役の違い、マレーシアに通常居住する取締役要件、会社秘書、MyCoID の流れを整理しました。就労資格との違いも実務ベースで解説します。

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マレーシアで事業を始めたい外国人向けに、Sdn. Bhd. 設立の基本、株主と取締役の違い、マレーシアに通常居住する取締役要件、会社秘書、MyCoID の流れを整理しました。就労資格との違いも実務ベースで解説します。

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外国人がマレーシアで会社を作るときの基本

結論

マレーシアで外国人が会社を作りたいと考えたとき、最初に理解すべきなのは「外国人でも株主にはなれる」が、「会社を実務上動かすためには少なくとも1名のマレーシアに通常居住する取締役が必要」という点です。ここを曖昧にすると、設立のイメージだけ先に進み、肝心の体制が組めずに止まります。

多くの人は、外国人100%出資ができるかどうかだけを気にしがちですが、実務ではそれだけでは足りません。SSM のガイドラインでは、private company には少なくとも1名の ordinarily resides in Malaysia な取締役が必要です。また、SSM の FAQ でも、外国人は sole shareholder にはなれても、sole director までやるならマレーシアに principal place of residence が必要であることが示されています。

結論として、マレーシアで会社設立を考えるときは、「出資できるか」と「現地法上、誰が会社の責任体制を持つか」を分けて考えることが最重要です。会社を作ること自体と、自分がその会社で働けることも別問題なので、そこまで含めて設計するべきです。

前提

マレーシアで事業を始めたい外国人は多いですが、その理由は人によってかなり違います。自分の事業を現地展開したい、投資会社を持ちたい、営業拠点を置きたい、将来の就労ビザにつなげたいなど、目的が違えば会社の形も変わります。そのため、「とりあえず Sdn. Bhd. を作れば何とかなる」という感覚は危険です。

まず理解すべきなのは、会社を設立することと、その会社で自分が合法的に働くことは別だという点です。会社を持っているから自動的に自分の就労資格が保証されるわけではありません。これは外国人起業で最も誤解されやすい部分です。会社法上の設立要件と、入管・就労資格の要件は分けて整理する必要があります。

また、設立後には会社秘書の選任や法定書類管理も必要です。SSM の案内では、最初の company secretary は設立後30日以内に選任する必要があります。つまり、設立だけして放置する世界ではなく、設立直後から管理義務が始まると考えるべきです。

実際の流れ

最初にやるべきことは、自分が作りたいのが local company なのか、既存の海外法人の foreign company registration なのかを分けることです。小さく始めたいなら、まず local company としての Sdn. Bhd. を考える人が多いですが、親会社の支店的な存在として出したい場合は foreign company registration の論点も出ます。目的を曖昧にすると後で構造が合わなくなります。

次に、株主と取締役を分けて考えます。外国人でも株主になることは可能ですし、SSM FAQ でも foreigner can form a company as the sole shareholder と示されています。ただし、private company の minimum director 要件として、マレーシアに通常居住する取締役が少なくとも1名必要です。つまり、100%自分の会社であっても、誰が resident director 要件を満たすのかを先に整理しないと前へ進みません。

三つ目は、会社名と設立情報の準備です。SSM のガイドラインでは、name search と direct incorporation の流れが示されており、MyCoID 2016 を通して設立の実務を進めます。ここでは、業種内容、資本構成、取締役、株主、登録住所などが必要になります。設立前に業種が曖昧だと、その後の銀行口座や許認可で説明しづらくなります。

四つ目は、会社秘書です。SSM の案内では、各 company は natural person の company secretary を少なくとも1名置く必要があり、設立後30日以内に最初の company secretary を選任しなければなりません。この秘書は SSM に認められた資格者である必要があるため、自分で適当に決める話ではありません。現地実務を回すうえで重要な存在です。

五つ目は、銀行、税務、実務運用です。会社を設立しても、銀行口座、会計、税務登録、契約実態、事業活動の整理がないと意味がありません。特に外国人は、「紙の会社」ではなく「実際に回る会社」を作ることが重要です。後で就労資格や事業継続性を考えるなら、最初から実体を持たせる設計が必要です。

六つ目は、自分の就労資格の扱いです。自分の会社を作ったからといって、すぐその会社で自由に働けるとは限りません。会社法の設立と、入管上の Employment Pass などは別工程です。この点を知らずに会社設立だけ急ぐと、「会社はあるのに自分は働けない」というねじれが起きます。

よくある失敗

一つ目は、外国人100%出資ができることだけ見て安心することです。実務では resident director 要件が大きな論点です。

二つ目は、会社設立と自分の就労資格を同じ話だと思うことです。設立できても、就労は別途整理が必要です。

三つ目は、company secretary を軽く見ることです。設立後30日以内という時間軸があるため、後で探せばよいという話ではありません。

四つ目は、事業内容を曖昧にしたまま会社を作ることです。銀行、税務、許認可、就労資格の説明で弱くなります。

注意点

マレーシアで会社を作るときは、「作れるか」より「作った後に回るか」を見た方が重要です。外国人起業は設立そのものより、設立後の resident director、company secretary、銀行、会計、入管の方が実務上の重みが大きいです。

また、現地居住取締役を誰で満たすのかは慎重に考えるべきです。単なる名義貸しのような形で雑に決めると、後で統治や責任の問題が起きやすくなります。会社の骨格に関わる論点です。

さらに、設立を先にしてから事業を考えるより、事業実態を明確にしてから設立した方が、結果として早く安定します。会社は器なので、中身が曖昧だと運用が苦しくなります。

判断基準

会社設立を進めるべきか迷ったら、次の基準で判断してください。

第一に、自分は local company と foreign company registration のどちらが必要か整理できているか。 第二に、resident director 要件をどう満たすか明確か。 第三に、company secretary を設立直後に選任できる体制があるか。 第四に、事業内容を銀行や当局へ説明できるか。 第五に、会社設立と自分の就労資格を別問題として整理できているか。

まとめ

マレーシアで外国人が会社を作ること自体は可能ですが、株主になれることと、会社を法的に運営する体制を作れることは別です。特に private company では、少なくとも1名のマレーシア通常居住取締役が必要であり、company secretary も設立後30日以内に必要です。

そのため、外国人起業では「作れるか」よりも、「誰が resident director になるのか」「自分はどう就労資格を持つのか」「設立後に実体ある会社として回せるのか」を先に整理した方が安全です。器だけ作っても、動かせなければ意味がありません。

次にやるべきこと

  1. 1local company か foreign company registration かを先に決める
  2. 2resident director 要件をどう満たすか整理する
  3. 3設立時点で事業内容を明確にする
  4. 4company secretary 候補を先に押さえる
  5. 5銀行・税務・会計の運用まで含めて設計する
  6. 6自分の就労資格は別途必要だと理解して進める

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