スイスの事故保険と健康保険の違い。会社員が見落としやすい基本
スイスで働き始めると、健康保険には加入したし、給与明細にも何か保険らしい控除があるし、何となく全部カバーされているだろうと思いがちです。ところが実際には、病気と事故は制度上の扱いが違い、特に会社員は accident insurance と basic health insurance の関係を理解していないと、重複加入や補償の誤解が起きやすくなります。
このテーマは見落とされがちですが、実務ではかなり重要です。なぜなら、どちらの保険がどの場面を担当するかによって、保険料、給与明細、事故時の連絡先、休業中の給付まで変わるからです。しかも、週8時間という線引きがあり、同じ会社員でも条件が少し変わります。
この記事では、スイスの accident insurance と health insurance の違いを、移住者にも分かるように整理します。
結論
結論からいうと、スイスでは事故の補償は必ずしも健康保険だけで見るものではなく、会社員であれば通常、雇用主が事故保険に加入させます。そして、週8時間以上働く人は非職業上の事故も雇用主の事故保険でカバーされるため、基本健康保険から accident cover を外せることがあります。
一方、週8時間未満しか働かない人は、雇用主側の事故保険では通常、仕事中の事故と通勤途上しかカバーされず、仕事外の事故は健康保険側の accident cover が必要です。つまり、会社員だから全員同じではなく、勤務時間で大きく分かれます。
さらに、事故で働けなくなった場合、雇用主の事故保険では原則として3日目から給与の80%の日額給付が出ます。ここも病気休業の感覚と同じではありません。事故は別レーンで理解する必要があります。
前提
まず前提として、スイスでは resident なら健康保険に加入する義務があります。しかし、それだけで事故保険の話が終わるわけではありません。事故は、働き方によっては雇用主側の accident insurance が主役になります。
次に、病気と事故は法的に区別されます。日常会話では同じ「体調不良」に見えても、制度上は事故と illness で補償ルートが違うことがあります。だからこそ、けがをしたときに health insurance にだけ連絡すればよいと思い込むのは危険です。
さらに、給与明細の見え方も重要です。事故保険の保険料が給与から控除される場合があり、ここを理解していないと「この控除は何か分からない」で終わってしまいます。実際には、その控除の有無が、自分の accident cover の構造を示していることがあります。
実際の流れ
会社員として働き始めたら、まず自分が週に何時間働く契約かを確認します。これが8時間以上か未満かで、非職業事故の扱いが変わるからです。週8時間以上なら、仕事外の事故も含めて雇用主の accident insurance でカバーされるのが基本です。
次に、健康保険の契約を見直します。雇用主経由で full accident cover があるなら、ch.ch でも健康保険の basic policy から accident insurance を外して保険料を節約できると案内されています。ここは見落とされやすいですが、重複を避ける実務上かなり大切な点です。
もし事故が起きたら、まず雇用主へできるだけ早く連絡します。ch.ch でも、事故が勤務中でも私生活中でも、まず雇用主へ知らせる流れが示されています。その後、雇用主が保険会社へ連絡し、必要書類が送られてきます。事故後に医師が就労不能と判断した場合は、その指示に従う必要があります。
給与面では、事故後3日目から原則80%の給与相当の日額給付が出ます。この点は非常に重要です。病気のときの給与継続ルールとは別に、事故には事故保険の給付ルートがあるため、会社の人事や payroll と連携しながら処理することになります。
よくある失敗
一番多い失敗は、健康保険に入っているから事故も全部それで処理されると思い込むことです。実際には、会社員なら雇用主の accident insurance が中心になることがあります。
次に多いのは、週8時間ルールを知らないことです。パート勤務や複数就労では特に見落としやすく、仕事外の事故が健康保険側で必要だと気づいていないことがあります。
三つ目は、雇用主経由で十分な事故補償があるのに、健康保険の accident cover をそのまま付け続けてしまうことです。大きな金額差ではなくても、長期では無駄が積み上がります。
四つ目は、事故発生後にまず誰へ連絡すべきか分からず、手続き開始が遅れることです。事故は病気と違い、雇用主への迅速な連絡が実務上かなり重要です。
注意点
注意点として、週8時間未満の従業員は、仕事外の事故が雇用主の accident insurance では通常カバーされません。この場合、健康保険側で accident cover を持っているか確認が必要です。
次に、自営業者は会社員と同じ構造ではありません。ch.ch でも、自営業は自分で accident insurance を手配する位置づけです。つまり、会社員向けの感覚をそのまま当てはめないことが大切です。
また、tick bite のように「病気に見えるが事故保険で扱われる」ものもあります。制度の境界が分かりにくい事例もあるため、判断に迷うときは雇用主や保険会社へ早めに確認した方が安全です。
判断基準
自分が今どちらで事故補償を持っているか分からないなら、最初の判断基準は三つです。第一に、週8時間以上働いているか。第二に、給与明細に accident insurance 関連控除があるか。第三に、健康保険の basic policy に accident cover が付いているか。この三つです。
この三点が分かれば、自分が重複しているのか、不足しているのかをかなり判断しやすくなります。特に移住直後は、健康保険だけ整えて安心しやすいので、就職後に一度見直す価値があります。
まとめ
スイスの事故保険と健康保険は、似ているようで役割が違います。会社員なら雇用主が事故保険に加入させ、週8時間以上働けば私生活中の事故もカバーされるのが基本です。その場合、健康保険から accident cover を外せることがあります。事故で働けなくなったときは、原則として3日目から給与の80%の日額給付が事故保険から支払われます。
つまり、就職後に本当に見るべきなのは「健康保険に入ったか」だけではありません。事故補償がどこで付いているかを確認して初めて、保険の全体像が完成します。
次にやるべきこと
次にやるべきことは、自分の雇用契約で週何時間働くのかを確認し、給与明細と健康保険契約を見比べることです。そのうえで、雇用主経由で non-occupational accidents までカバーされているなら、健康保険の accident cover を外せるか保険会社へ確認してください。
さらに、事故が起きたときはまず雇用主へ連絡する、という流れを家族にも共有しておくと、いざという時に迷いにくくなります。
