ベトナムで会社を設立するには|外国人のIRC・ERC・最初に詰めるべき実務
結論
ベトナムで会社を作ろうとすると、多くの人が最初に「会社名を決める」「資本金はいくらにする」と考えます。しかし、外国人がベトナムで会社設立を進める場合に最も大切なのは、法人登記だけでなく、投資案件としての整理が必要かどうかを先に理解することです。ここを飛ばすと、会社を作るつもりが、実際にはその前段の投資登録で止まりやすくなります。
ベトナムでは、外国投資家が新たに事業を立ち上げる場合、一般的に Investment Registration Certificate、いわゆる IRC と、Enterprise Registration Certificate、いわゆる ERC を順に考える必要があります。BIDV の外国投資家向け手続きガイドでも、外国投資家向けの IRC 手続きが整理されており、National Business Registration Portal でも事業登録の公式導線が公開されています。つまり、会社設立は単なる会社法の話ではなく、投資法と事業登録の両方にまたがる実務です。
結論として、最初に整理すべきなのは次の4つです。
1つ目は、自分の案件が外国投資案件としてどう扱われるかです。 2つ目は、IRC と ERC を別工程として理解しているかです。 3つ目は、何の事業を、どの資本計画で、どこで行うか明確かです。 4つ目は、オンライン申告から紙書類提出までの流れを把握しているかです。
つまり、ベトナムの会社設立は「法人を1つ作る」ではなく、「投資と事業を制度上通す」プロセスだと理解したほうが失敗しません。
前提
外国人がベトナムで新会社を設立する場合、実務の入口として重要なのが IRC です。BIDV の外国投資家向け法務ガイドでは、外国投資家または外国組織・個人を対象として、National Investment Information System でのオンライン申告、オンライン申告コードの取得、その後の書類提出という流れが示されています。つまり、いきなり窓口へ行くのではなく、オンライン登録を起点に考える必要があります。
その後に出てくるのが ERC、つまり事業登録です。National Business Registration Portal は、ベトナムの公式事業登録情報の入口であり、事業設立や関連案内の基盤になっています。ここからわかるのは、ベトナムでの会社設立は「投資を通すこと」と「事業主体を登録すること」が重なっている、ということです。
また、外国人が会社を作るときに見落としやすいのが、事業内容の適格性と資本計画です。日本の感覚で「とりあえず作ってから考える」は通しにくく、何をやる会社なのか、どこでやるのか、どのくらいの規模なのかを最初から一定程度説明できる必要があります。資本金の数字だけでなく、その事業に対して整合的かどうかが見られます。
実際の流れ
最初にやるべきことは、事業構想を制度言語で整理することです。何を売るのか、どのサービスを提供するのか、輸出入なのか、仲介なのか、コンサルなのか、教育なのか。日常会話のアイデアを、そのまま制度に当て込むとずれやすいです。まずは事業内容を明文化し、投資案件として説明できる形にする必要があります。
次に、外国投資家として IRC が必要になるかを確認します。新規設立か、既存会社への出資かでも流れは変わります。BIDV のガイドでも、IRC 手続きと既存会社への資本参加手続きは分けて案内されています。つまり、「会社を作る」だけでなく、「どう市場に入るか」で選択肢が変わります。
そのうえで、オンライン申告と紙書類提出の流れを進めます。公式案内では、National Investment Information System で案件情報を登録し、オンライン申告コードを取得したうえで、一定期間内に書類提出する流れが示されています。ここで重要なのは、オンラインだけで完結すると思わないことです。最終的には書類の整合性が重要です。
最後に、ERC 取得後の実務も見ておきます。会社を作った瞬間に営業開始できるとは限らず、銀行口座、税務、会計、オフィス、場合によっては追加ライセンスや労務整備まで続きます。だから、会社設立はゴールではなく、事業開始準備の入口だと考えたほうがよいです。
よくある失敗
一番多い失敗は、会社法だけ見て投資法の整理を後回しにすることです。外国人案件では、どのルートで市場に入るかが最初から重要です。IRC を意識せずに法人だけ作ろうとすると、流れが噛み合わなくなります。
次に多いのは、事業内容を曖昧なまま進めることです。「なんでもできる会社」にしておきたい気持ちはわかりますが、制度上は事業内容をある程度説明可能にしておく必要があります。ここが弱いと、後の実務も不安定になります。
三つ目は、オンライン登録だけで終わると思うことです。公式案内でも、オンライン申告コード取得後に書類提出の流れがあります。つまり、システム入力は入口であって、実務の本体はその後です。
四つ目は、設立後の銀行・税務・会計を軽く見ることです。法人ができても、その後の運用が整っていなければ事業は動きません。特に外国人オーナーは、設立後の現地運用も最初から見ておく必要があります。
注意点
ベトナムで会社を作るときは、「早く作る」より「正しい入口で入る」ことを優先してください。特に外国人案件は、最初の設計を間違えると修正コストが高くなります。事業内容、投資形態、資本、場所、この4つは最初からある程度固める価値があります。
また、会社設立をビザ対策や在留対策だけで考えすぎないことも重要です。制度上の整合性は必要ですが、事業実態が弱いと長く運用しにくいです。だから、在留と事業はつながっていても、同一ではないと理解したほうが安全です。
さらに、既存会社への出資や株式取得のほうが向くケースもあります。新規設立だけが正解ではないので、最初に市場参入の形を見比べたほうがよいです。
判断基準
自分が今、新規会社設立へ進むべきかどうかは、次の5つで判断すると整理しやすいです。
- 1事業内容を制度上説明できるか
- 2IRC と ERC の違いを理解しているか
- 3資本計画と事業規模に整合性があるか
- 4オンライン申告後の書類提出まで見えているか
- 5設立後の税務・会計・銀行実務まで準備できるか
この5つのうち2つ以上が曖昧なら、いきなり設立へ進むより、参入方法を整理し直したほうが安全です。
まとめ
ベトナムでの会社設立は、会社名を登録する作業ではなく、外国投資として案件を通し、事業主体を制度上整えるプロセスです。IRC、ERC、事業内容、資本計画。この4つを押さえるだけで、会社設立の見え方はかなり変わります。
ベトナムで起業したいなら、スピードより設計が重要です。入口を正しく理解すると、その後の運用もかなり安定します。
次にやるべきこと
- 1自分の事業内容を制度上説明できる形で文章化する
- 2新規設立か、既存会社への出資かを比較する
- 3IRC と ERC の流れを前提に、必要書類と資本計画を整理する
